アプローチ

医療機器営業におけるファーストコンタクトと集客の技術

医療機器営業の現場では、初回接触(ファーストコンタクト)と集客の手法が成果に直結します。本記事では、イベントを活用したアプローチと営業による直接的なアプローチについて、実践的なノウハウを共有いたします。

イベントによるアプローチ

最重要ポイント:カバー率の最大化

アプローチにおいて最も重要なのは「カバー率」でございます。告知を受けていない医師(Dr)をゼロにし、分母を最大化することが第一の目的です。すべての医師を個別に訪問するには膨大なコストがかかるため、以下のような集客性の高いイベントを活用いたします。

  • 全国学会ランチョン
  • 地方会ランチョン
  • 全国KOL(Key Opinion Leader)によるウェビナー

選定すべきテーマ

イベントのテーマは、医師が関心を持つ「お悩み事」や「まだコンセンサスが取れていない内容」など、学会でホットな話題が望ましいです。

演者の条件

原則として、全国的に著名なKOLであり、権威のある医師でなければ、他のセミナーに流れてしまう可能性がございます。

集客方法

  • メールによる案内
  • 郵送物:セミナー内容が見える形で送付。中身が見えないと即座に廃棄される可能性が高いです。
  • 営業による手渡し:重要顧客には直接手渡し。それ以外の場合は医局に掲示していただく。学会セミナーは事前に抄録で発表者を確認することで、誰が参加可能かを把握できます。

次回ステップへのフック

  • ウェビナー中に「現在の使用製品とその選択理由」に関するアンケートを実施することで、現状使用製品の特定が可能となります。
  • 開催直後には必ずアンケートを取り、感度の高い医師を抽出します。これが次回訪問の理由付けとなり、アポイント取得が容易になります。
  • 回答者が対象顧客でない場合でも、メールなどで必ず返信を行います。代理店に対応してもらうのも有効です。
  • 出席者全員にアプローチすることが重要です。返事がないのは緊急性がないだけであり、1週間もすれば完全に忘れてしまいますので、早めの対応が肝要です。

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営業を使ったアプローチ

アポイントの取得方法

コロナ以前は病院にフランクに訪問できましたが、現在ではメールによる申し込みが主流です。以下の方法でアポイントを取得します。

  • 前任者から引き継いだメールアドレスに直接申し込む
  • 医局秘書やアポイントシステム(PRJOYやモニタロー)を指定されている場合は、そのルールに従う

アポトークスクリプト

医師向け

  • 「今の〇〇が〇〇となるような提案をしております」(ビフォー&アフター)
  • 「実際に〇〇になった声もあり事例もあり」(第3者話法)
  • 「先生のご意見を伺いたいので、ぜひお時間いただけませんか」(お教えを請いたいスタンス)
  • 「いつといつはいかがでしょうか」(日時の選択)

受付向け

  • 「先生が所属されておられる〇〇学会でのセミナーのお知らせ」

※原則として、断るとまずい、自分では判断できない理由を伝えるようにします。

アポなしでの訪問

メールでのアポイント取得は効率が悪く、返信がないケースも多くございます。アドレスが不明な場合や新規営業では取得自体が困難です。電話も断られやすく、リスクが高いため、確実性を優先する必要があります。

そこで有効なのが「アポなし直接訪問」です。

医師の心理

医師は意外と警戒心が薄く、医療機器メーカーの訪問に慣れております。既存メーカーであれば「顔を出すのが普通」と考えている場合もございます。訪問を厳しく制限しているのは病院側であり、医師の間口は広く開かれていることが多いです。

実態と原則

返信がない理由は「関心がない」だけでなく、「忙しい」「忘れていた」「見落としていた」など様々です。アポの原則は「最後は実際に会ってみる」であり、諦めずに一度は訪問することをおすすめいたします。

会う技術

医師と直接会うためには、以下の場所とタイミングを把握する必要があります。

主な接触ポイント

  • 医局:朝駆け時、病棟・オペ前、外勤帰り、カンファレンス前後
  • 駐車場:朝の駐車場、夜はエンドレス
  • 喫煙所:院外近くのコンビニ、公園内の喫煙室

特殊な接触ポイント(必要時のみ)

  • 手術室:オペ前の緊張時
  • 外来:午前診は昼前後、午後診は18時以降。受付横から出てくるルートや医局直通階段を把握
  • 外勤先:外来で名刺を渡す
  • 病棟:患者の目があるため基本的には避ける

記録の重要性

医師の行動パターンは固定されていることが多いため、会った曜日・時間・場所を記録しておくことで、半年ほどで同線リストが完成します。一度ルートを作れば、次回からは最速でアプローチ可能です。

注意点

医師との面談回数は、営業の分母を広げるために重要な技術です。しかし、実際に会おうとすると朝から晩まで病院に張り付く必要があり、時間的負担が大きくなります。

営業職は「クローザー」であり、アポイント後のヒアリング・提案・実証・クロージングが主たる業務です。面談は大切ですが、省エネでこなせるよう工夫が必要です。

このように、医療機器営業におけるファーストコンタクトと集客には、戦略的かつ実践的な技術が求められます。現場で培った経験をもとに、皆さまの営業活動に少しでもお役立ていただければ幸いです。

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